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若虎たちの粘りで意味ある引き分け

勝てなかった。でも、負けなかった。若虎たちの執念が、対巨人3連敗を阻止した。
 
2点を追う9回裏の攻撃。先頭のゴメスが、この回からマウンドに上がった澤村の出鼻をくじく第8号ホームランで1点差とすると、途中出場の北條は「塁に出ることを考えて」左前打で続く。7回無死一、二塁の場面でバント要員として代打に送られながら、スリーバント失敗に終わっていただけに、北條にとっては汚名返上のヒットだった。
 
大和が犠打を決めて一死二塁。ここで金本監督は、きのう“懲罰交代”させた江越を代打に送った。守備のミスと覇気の感じられない見逃し三振が原因だったが、きょうはその反省から初球を積極的に打ちに行った。「無我夢中だった」という江越の打球は三遊間を抜けて、一、三塁とチャンス拡大。試合前練習で直々に打撃指導した監督は、「開きが早くていい打ち方じゃない」としながらも、「去年は全部、空振りだったのが、今年はバットに当たる。そこは成長」と認めた。
 
このチャンスに代打を告げられたのは、きのう支配下登録されたばかりの原口。初球をセンターへ運び、プロ初打点となる犠飛で同点に追いついた。「あそこで初球から行くとは、ええ根性しとるね」と監督。「欲を言えば、(前に出ていた)外野を越えたいボールだったけど、一軍経験がほとんどない中で、あの度胸を買ってあげたい」と金本監督らしい評価をした。
 
逆転サヨナラとは行かず、延長12回引き分けに終わったが、きょうに関しては負けなかったことが大きい。
 
「藤浪とメッセ(メッセンジャー)で勝てなかったのは痛いけど、菅野の試合で負けなかったとも言える。逆転負け、大敗と来てのドローだから。そこは前向きに。選手もプラスに考えてほしい」(金本監督)
 
目標のカード勝ち越しどころか、1つも勝てなかったが、きょう負ければ借金生活に入っていた。若手の粘りでそれを回避したのだから、意味のある引き分けだったと言える。