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粘り届かず連夜の悪夢

三たび追いつく驚異の粘りを見せた阪神だが、一度もリードを奪えないまま 最後は頼みの守護神が乱れて連夜のサヨナラ負けを喫した。

阪神先発・藤浪は初回二死3塁に中前安打・盗塁などで進んだ大引を背負い、バレンティンの三塁適時内野安打を許して先制される。

5試合連続2桁安打と好調・阪神打線は、東京ヤクルト先発・小川に対して2番 大和・6番 板山などのオーダーで臨んだ。2回表 先頭4番ゴメスが、ヤクルト先発・小川からバックスクリーンへ同点13号ソロを叩き込む。

「打ったのはストレート。カウント2-0だったから、打てるボールだけを待って、しっかりと自分のスイングをすることだけを心掛けていたんだ。感触はよかったよ!打った瞬間、本塁打だとわかったね!先制されたけど、こうしてすぐに取り返す事が出来てよかったよ」。連夜の号砲にマウロ・ゴメス内野手もご機嫌だ。

追いついてもらった藤浪だが、3回裏 二死1塁から絶好調4番バレンティンにカウント1-1からレフトスタンドへの15号2ランを浴びてヤクルトの勝ち越しを許す。

しかし、阪神も反撃する。4回表 先頭3番 福留が左中間へ3号ソロを打ち込むと一死後 5番 原口もレフトスタンドへ4号ソロ本塁打を放ち、3対3と再び追いついた。

「打ったのはストレート。イニングの先頭打者だったので、塁に出ようという意識で打席へ向かった。(本塁打は)たまたま。風に助けられた」。日米通算1000打点にも殊勝なコメントの福留孝介外野手に対して、原口文仁捕手は、「浮いてきたスライダーをしっかりと捉える事が出来た。風もあったので打った瞬間『よし!これはいったな!』と思った。追いつけた事はよかったと思う。ここからがより大事になってくると思うので、この後も頑張っていきます!」と気合いを入れていた。

藤浪はヒットと味方(北條)のエラーで無死1・2塁だった4回裏は後続を抑えるが、5回二死2塁から5番 川端にカットボールをライトスタンドへ運ばれる手痛い1号2ランで、またしてもリードを奪われてしまう。

6回表 阪神はゴメスのヒットと死球で二死1・2塁として、7番ヘイグが小川のチェンジアップを捉えて左中間へ同点2点二塁打を放つ。「打ったのはフォーク。昨日はボール球に手を出してアウトになっていたから、ストライクゾーンに来たボールを芯で捉える事だけを意識していたよ。毎日結果を出したいと思ってゲームに臨んでいるけど、昨日は内容も良くなかったから、今日のゲームではヒットを打ちたいという思いを普段より強く持っていたんだ!」。マット・ヘイグ内野手が滑らかにコメントを伝えた。

藤浪はその後もピンチを招いたが、何とか同点のままリリーフへと繋ぐ。今季初の1試合2本塁打を浴びて7回(131球)11安打9三振1四球5失点。「調子自体は良かったが、2本の本塁打はボール1つ分甘く入ってしまったところを上手く打たれてしまった。狭い球場で一発や長打を警戒しないといけなかったし、反省しないといけない」。藤浪晋太郎投手が神妙に振り返っている。

終盤はリリーフ勝負。東京ヤクルトが7回から秋吉〜ルーキ〜オンドルセクと繋げば、阪神は8回 高橋・9回にマテオを投入する。4試合連続失点中の守護神は、先頭の坂口に四球を与え山田・左前安打の後 バレンティンに死球をぶつけて無死満塁と絶体絶命のピンチを招く。川端の鋭い当たりは中飛で助かったが、6番 畠山に中前へサヨナラ安打を浴びて、6対5。死球の場面では両軍入り乱れて揉み合う一触即発の事態(警告試合)となり、阪神には何とも後味の悪いエンディングであった。

救援陣に不安があった為にベンチは藤浪を引っ張ったと思われるが、その懸念が的中する形での2戦連続サヨナラ負け。勝率も5割を切り、ブルペン再編を含めてチームの立て直しが急務と言えそうだ。

「(マテオが打たれたけど、守護神は)他にいないんじゃないの?(だけど)良かったのはオープン戦と開幕当初だろ?それ以降はずっと良くない。(スライダーの)キレが全くない。(問題は)フォーム。肩やヒジの使い方じゃないの?」。金本知憲監督は守護神の不振を嘆いた。「投打の歯車が噛み合っていない」現状に指揮官がアタマを抱える。

試合後は宿舎で全ナインを集めて、緊急ミーティングが開かれたと言う。この夜、日米通算1000打点を本塁打で達成したベテラン福留孝介外野手は、「(この記録は)一人じゃ出来ない。前で助けてくれる仲間がいたから達成出来た。感謝したい」と話したが、今こそフォア・ザ・チームの精神が必要な時かも知れない。「この2試合 流れが悪い。変えられるように頑張りたい!」と強い決意を口にしていた。