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ドリス 無念のサヨナラ暴投

息詰まる投手戦。阪神は必死の継投を見せたが、延長で力尽き悔しい連敗を喫した。

今季リーグ・トップタイの8勝をあげている中日先発・柳に対する阪神は、前日の陽川に代わって、明治大で柳の一年年長だった高山を7番で起用する。柳は、三振&内野ゴロ2つで3者凡退と上々の滑り出し。2回表は大山・マルテを緩い変化球で空振り三振に斬るなど序盤を僅か36球で抑え込む完璧な内容だ。

阪神はサウスポー高橋遥が先発。中日は、阿部を6番へ上げて7番にはスイッチヒッター藤井を入れた。高橋遥も平田・京田から連続三振を奪うスタート。2回裏には高橋への四球から二死2塁に走者を背負うが7番 藤井を中飛に打ち取り、得点を許さない。序盤は、こちらもノーヒット。40球と理想的な球数で立ち上がった。

4回表 阪神は先頭 近本が両チーム通じての初ヒットを中前に放ち出塁するが、盗塁が捕手・加藤の強肩に阻まれてチャンスが広がらない。その裏 中日も一死から大島が左前へ初安打。しかし、高橋遥はビシエドに粘られながらも中飛。5番 高橋は二ゴロに抑えて脱出する。柳は6回で10奪三振の奮闘だ。

6回表 柳は、先頭・高山にライト線二塁打を浴びて木浪の一ゴロで一死3塁とされるが、高橋遥・近本を連続三振に仕留めてピンチを脱する。阪神にとっては打順の巡りが悪かったとも言える。5回までの投球内容を考えるとあの場面で代打を送る選択はなかなか難しいだろう。

その裏 高橋遥は先頭・柳に四球を与える。一死後、京田・左前安打と大島・四球で満塁と絶体絶命の場面となった。ここで4番ビシエドはヒット性の当たりもセンターライナー。続く高橋も投ゴロに打ち取り、窮地を逃れた。高橋遥は、この回限りで交代。終盤を救援陣に託した。6回(92球)2安打4三振3四球 無失点。「しっかり腕を振って、思い切ってゾーンに強い球を投げる事を意識していた。中盤に無駄な四球で球数が多くなり、6回でマウンドを降りることになってしまったが、野手の方々の守備に助けて頂き最低限の役割は果たせたと思う」。高橋遥人投手は反省を口にするが、とにかく素晴らしい投球だった。

継投に入った阪神は、7回裏を藤川が抑える。8回表 阪神は一死から高山が中前安打で出塁。代走・江越を木浪が送って代打・鳥谷の起用となったが、鳥谷は三邪飛に倒れ均衡を破れない。その裏は交流戦明けで復帰したジョンソンが登板。1番からの攻撃を3者凡退に封じる本来の投球を見せた。

9回表 中日は柳に代えて左腕ロドリゲスを送って、阪神の上位左打者を完璧に抑える。柳は8回(93球)を4安打 10三振 無四球 無失点。柳 裕也投手は、「しっかりと自分のピッチングは出来たと思う」と話した。余力を残しての交代に見えたが、猛虎打線にとっては打てる気がしない程、隙のない投球だった。

9回裏 阪神は4人目に小野を投入。小野はビシエド・高橋・阿部を打ち取り、試合は延長戦に突入する。10回表 中日3人目は、守護神 R.マルティネス。阪神は一死からマルテが左前安打を放ち、代走・植田で揺さぶりをかける。二死後、植田は盗塁を決めたが、途中出場の江越が空振り三振に倒れた。その裏 阪神5人目は岩崎が登板。二死を取ったところで守屋にチェンジ。この回は2投手で3者凡退に抑える。

11回表 中日4人目・福に対して阪神は先頭・木浪が中前安打で出塁。代打・北條はスリーバントの犠打を決めて一死2塁とする。ここで矢野監督は近本に代打・原口を送って勝負をかけるが、原口は遊ゴロ。続く糸原も三ゴロに終わった。その裏 阪神7人目ドリスが先頭・平田に四球を与えて、京田の犠打で一死2塁とされる。大島の当たりは木浪の好守で二ゴロ。次のビシエドには死球を与えて二死1・3塁となる。ここでドリスは5番 高橋を2ストライクと追い込んだが、フォークボールを梅野が横へ逸らして痛恨のワイルドピッチでジ・エンド。中日が1対0で5連勝を今季初のサヨナラ勝ちで飾った。

中日は僅か2安打の勝利だが、阪神にとっては痛すぎる黒星となった。3連敗で負け越し1つ。「(ドリスの暴投は)どうしようもないでしょ!あれでオレ、文句言うような・・何もないで! しゃあないやん。勝負行ってんねんから!」。矢野燿大監督にバッテリーを責めるつもりはない。これまで再三ワンバウンドを止めていた梅野のミスでもあるが、そこは割り切らなければ仕方がないだろう。

勝負をかけた11回表の采配に関しては、「もう行かんとね。点取らんと勝たれへんし。行けるところでは、やれる事を!自分の中では現状一番点が取れる(確率が高い)という事を選択してやったつもり」 だと話した。柳の好投を認めつつも、打線に関しては、「追い込んでから真っ直ぐの三振があんまりなかったような気がするんだけど・・」と追い込まれてからの打撃に一工夫必要であった事を取り上げ、「こういう良い投手でも点を取っていかないとダメなんで!そういうところは課題として」克服して行く決意を示している。

「(高橋遥は)いや、ずっと勝てるようなピッチングしてるんだけどね。本当にハルトの時、全然点取れないんで。一個(勝ち星の)数字がつくのは、全然投手も気分が違うんでね。勝たしてやらないとね!」。先発左腕への労いと思いを熱く語る指揮官は、戦列に復帰したジョンソンに関しても「そうやね。心配ない投球やった。これでまた落ち着くと思うし」と安堵の表情を浮かべる。「(更に)小野もいるし、球児もいつも通りやってくれてる。(起用法に)色んな幅が出来るような中継ぎ以降の投手陣になって来てるんでね」。惜敗の中にも収獲を口にしていた。